相続した株式の名義変更はどのように行いますか？

株式の名義変更の方法として、各証券会社の書式を使用する方法と遺産分割協議書を作成する方法があります。

預貯金の名義変更手続きとの違いとして、遺産分割協議書を作成する場合であっても、別途証券会社の書式で詳細な記載が求められるケースが多い点が挙げられます。

なぜ証券会社の書式で詳細な記載が求められるかといいますと、各株式をどの割合で取得するのか等について、遺産分割協議書では必ずしも明記されませんし、不正確な場合があるからです。

不正確な場合とはどのようなケースなのか、例を挙げて説明します。

例えば遺産分割協議書で、株式５００株を２分の１ずつ分けると記載している場合で考えます。

その株式の単元株数が１００株であった場合には、２５０株ずつで分配することができず、２００株と３００株で相続することになりますし、また、５００株だと相続人が思っていても、株式の分割や併合が直前に行われていて、実は５０００株であったというケースも考えられます。

このように、協議書上の分割割合と実際には異なる分配となるケースもあるため、別途証券会社の書式が求められることがあるのです。

ただ、だからといって遺産分割協議書に詳細を記載しないというのは、それはそれで後日の争いのもとになりますので、遺産全体の分割について相続人全員が合意してから手続きを行うために、やはり遺産分割協議書は作成するべきです。

遺産分割協議書を作成する際の流れとその内容についてはこちらをご覧ください。

そして、株式の名義変更の場合には、相続人が解約を行う証券会社の口座を開設して、株式を引き継ぐ必要があります。

株を売却したい場合でも、一度相続人の口座を作成して株式を引き継いだ後に売却をすることになります。

また、配当金の精算が必要になるうえ、配当金の管理をしている会社は手続きを行う証券会社ではない場合があるため、他の名義変更手続きと比べて、手続きが煩雑になることがあります。