死因贈与と遺贈の違いやメリット
1 死因贈与と遺贈
死因贈与も遺贈も、財産を与える側が死亡したことをきっかけに、生存している人が財産の一部または全部を取得するという点では共通しています。
ご自身が亡くなった場合に、ご自身が持っている財産を取得させたい相手がいる場合には、どちらも有効な方法です。
もっとも、死因贈与と遺贈の間には細かな違いもたくさんあります。
財産の残し方を考えるにあたっては、それらの違いを理解した上で、適切な方を選択することが大切です。
2 死因贈与
死因贈与は、贈与という名前がついているとおり、贈与契約の一種であり、贈与者が死亡した時点で効力が生じる贈与契約です。
法的な性質として、契約であることから、当事者間での合意、すなわち死因贈与契約の締結が必要になります。
また契約である以上、契約をする能力、すなわち行為能力が必要となります。
贈与を受ける側は、贈与の内容を確認した上で承諾をしますので、贈与を受ける側の意思に沿った内容の契約を作成することができます。
なお、贈与を受ける方は、贈与する側が死亡した後で、権利を放棄することもできます。
遺言は法律によって形式が厳格に定められていますが、死因贈与は意思表示さえあれば有効です。
とはいえ、後々のトラブルを避けるためには、しっかりと書面を作成して贈与契約を締結すべきです。
また、遺言は、自筆証書遺言の場合には裁判所による検認が必要となることがあります。
しかし、死因贈与の場合には検認は必要ありません。
3 遺贈
遺贈とは、遺言によって財産を譲り渡すことです。
死因贈与と異なり、遺言をする人のみで行うことができ、財産を取得する側(受遺者)の承諾は必要ありません。
これを「単独行為」といいます。
死因贈与は行為能力が必要であり、年齢は18歳以上であることが求められますが、遺言は15歳以上であれば行えます。
死因贈与は、特定の財産を特定の人に贈与するという内容のみですが、遺贈は財産を特定せず、一部または一定の割合を与えるという内容でも行うことができます(包括遺贈)。
遺言者が死亡した際、特定の財産を特定の人に贈与する遺言(特定遺贈)の場合、受遺者はいつでも拒否をすることができます。
また、包括遺贈の場合には、3か月以内であれば拒否することが可能です。
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