借金と相続
1 相続した借金は支払わなければならない
相続では、亡くなった方の銀行預金、土地・建物等のプラスの財産も借金などのマイナスの財産も引き継いでしまいます。
借金はないはずだと思い込み、十分に調べずに相続をしてしまうと、「親の借金の請求がいきなり来た」という事態に陥ってしまうおそれがあります。
このような事態にならないように、相続の際には、借金がないか慎重に確認する必要があります。
2 借金の相続には遺産分割協議はいらない
なお、借金の相続には、銀行預金や土地建物と違い、遺産分割協議が必要ないという特徴があります。
借金は、死亡と同時に、法定相続分の割合(子ども2人であれば1/2ずつ)で直ちに分割されて相続されてしまいます。
そのため、遺産分割が終わるまでは借金の支払いを待ってもらえない可能性もあります。
遺産分割協議の際に、他の相続人に対して「遺産はいらない」と伝えていたとしても、相続放棄をしたことにはなりませんので、法定相続分の割合の借金を背負うことになってしまうことに注意が必要です。
3 借金は調査できる
亡くなった方の借金は、その詳細が分からなくとも、調査をすることができます。
具体的には、以下の3社に照会をかけることで調べることができます。
・CIC
この調査は、どのクレジット会社・銀行から借りているか、どれくらい借りているのかなどが分からなくても、一覧で照会をかけられるため、とても便利です。
4 調べられない借金もあることにご注意ください
CICなどによる調査は、亡くなった方がクレジット会社・銀行から借りていた借金を調べます。
そのため、個人や会社から借りたものはCICなどへの調査では見つかりません。
また、亡くなった方が直接お金を借りたのではなく、保証人になっている場合、この調査では見つかりません。
しかし、保証人でも借金を支払わなければならないリスクがあることには変わりないため、見落とすと危険です。
5 借金がある場合は相続放棄の検討を
借金を相続してしまいそうな場合、亡くなったことを知ってから3か月以内であれば相続放棄をすることができます。
もっとも、相続放棄は、借金と一緒にプラスの財産も放棄してしまうため慎重な検討が必要です。
単純承認をした場合には、相続放棄を行うことができなくなりますので、ご注意ください。
単純承認したと見なされる場合については、こちらをご覧ください。
亡くなった方に借金がありそうな場合、お早めに専門家に相談することをおすすめします。